美味しさづくりの博物学

どうしたらおいしくなるのかを科学する


ゆでたまご

『料理』とは、食材選びから始まり、調理した食べ物を食卓に並べるところまでさします。人が健康で快適に生きていくためには、安全で、栄養のバランスがとれた、美味しい食べ物が欠かせません。人は食欲だけでなく、それぞれの生活や住んでいる地域に特有な食文化を背景に食べ物を選択しています。調理は、私たちの生活の仕方や地域社会に深く結びついており、食文化の未来にも関わっています。調理は家庭や外食の場で、技術として受け継がれてきましたが、その秘訣のいくつかは科学的に解明されています。食品の重さや体積、温度や加熱時間などを計測することによって、調理のコツをだれもが身に着けることができるのです。

ゆでたまごのクッカリーサイエンス

産卵直後の新鮮な卵では、普通にゆでた場合、卵白に含まれる二酸化炭素の作用により薄皮が非常にむきにくく、きれいにはがすのは至難です。また、二酸化炭素が入ったままの白身はぼそぼそとした食感になり、味も落ちます。対策としては、卵の丸い方にひびを入れてからゆでる方法が効果的です。卵は、少し時間を置いて、鮮度を若干落としてゆで卵に用いると良いでしょう。 沸騰してから入れると中身が膨張し、内圧で殻が破裂しやすいので、水からゆでます。気室(太い方)に針で空気抜きの小穴をあけると割れが防げます。中身が出た時に固まりやすいように食塩を水に入れると中身が出にくくなります。卵が冷蔵してある場合は、冷たいまま入れた方が、後からむきやすくなります。黄身の偏りを防ぎたい場合は、時々卵を動かす。 ゆで時間が長すぎると、硫化水素が発生し、黄身が変色したり、硫黄くさくなります。これを防ぐため、10分以内にゆで時間を抑え、ゆであがった卵は、すぐに冷水で冷やします。 水の中(流水内)で揉むようにして殻に細かくひびを入れると、簡単にむくことができます。 熱いうちに濃い目の塩水や調味液につけると、簡単に味付け卵が出来ます。 ゆで卵調理専用の機器として卵ゆで器がある]。出典https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%86%E3%81%A7%E5%8D%B5

ゆでる時間の加減により、黄身に火が半分通った半熟卵、完全に火が通った固茹で卵に分類できます。 水からゆでる場合、水の量や火力、気温により温度の上がり方が変わるためタイミングをはかるのが難しいです。タイミングをはかるために「エッグメーター」と呼ばれる温度計を一緒にゆでる方法があります。また、常に一定の時間で仕上げるために、卵は80度程度で白身・黄身ともに固まることを利用し、多めのお湯をあらかじめ沸騰させておき、そこに卵を入れて蓋をし、あとは熱を加えずに放置する方法もあります。卵が常温の場合、6分前後で半熟に、10分前後で固ゆで卵になります。  また、湯を沸騰させずに、70℃前後の比較的低温を保って数十分ゆでると、黄身と白身の凝固温度の違いから、白身は固まらず黄身だけが固まります。これは温泉卵と呼ばれます。

出典https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%86%E3%81%A7%E5%8D%B5

長時間高温でゆでた場合、白身から発生した硫化水素(猛毒)と、黄身の鉄分とが化合して、黄身の外端が黒緑色となりますが、健康には害がないといわれています。また、なべ底に接していた温度の高い部分のみが茶褐色に変色し、「硫黄焼け」を起こす場合があります。さらに加熱時間を長くすると、白身全体が褐色をおび、硫化水素臭により、味も落ちます。 卵と卵が十分没する量の水を入れた器を電子レンジにかけてゆで卵を作ることもできますが、卵が破裂する可能性があります。また、冷蔵庫から取り出したばかりの冷たい卵を急激に加熱すると、破裂することがあります。これは、内部の空気や液体の膨張による内圧の急上昇が原因です。地鶏卵よりも殻が薄いケージ飼いの量産卵で起こりやすい現象です。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%86%E3%81%A7%E5%8D%B5

タマゴの歴史

一般的に、タマゴを食べるようになったのは、江戸時代に入ってからのことで、タマゴ売りも出てきましたが、庶民には手の届かない特別な栄養食だったようです。 いまでは、どこの家庭の冷蔵庫にも常備されているタマゴも、昭和30年以降のことです。この時代は食生活に対する日本人の意識が大きく転換し栄養改善普及運動も盛んになり、食生活の欧米化が一気に促されて、数々の栄養素の中でもタンパク質やカルシウムが重要視され、肉・卵・牛乳・乳製品を積極的に食べることが推奨されました。 その時に、「タンパク質が足りないよ」をキャッチフレーズに、特にもてはやされたのがタマゴでした。 タマゴを食べていれば健康になれる、と信じて疑わない人が大勢いました。  歴史的にも永く愛され続けてきたタマゴは、栄養価も高く、価格変動も少ない最も身近な食材の一つです。http://www.ja-hiroshimashi-egg.net/egghistory.html

タマゴの栄養

たまごはタンパク質が豊富であり、全ての食品の中でも最も良質です。それは、タンパク質を作るうえで大切な必須アミノ酸がバランス良く含まれているからです。 必須アミノ酸の一種であるメチオニンは、動物性タンパク質の中では、たまごが非常に多く含まれています。このメチオニンがガン予防に大きな働きをすることが注目されています。 またビタミンEやカロチンなどに発ガンを抑える作用のあることが研究の結果分かってきています。ガン予防に不可欠なメチオニンとビタミン類を含むたまご。毎日しっかり食べて、ガンから健康な細胞を守りましょう。また、たまごに含まれるメチオニンは、肝臓でアルコールが分解されるときに必要なアミノ酸でもあります。たまご100gにつき約400mgも含まれています。これはほかの食品に比べてずば抜けて高い数値です。またアルコールによる肝臓の炎症を抑える働きのあるビタミンB2やビタミンB群もたっぷり含みます。ガンをはじめ心臓病、糖尿病、高血圧なと生活習慣病は、まさに生活習慣を改善することによって予防や治療が可能ですが、骨粗しょう症病もその一つです。人間が骨を作る上で必要な栄養素としては、カルシウムが代表的ですが、カルシウムが充分に働くためには、タンパク質、ビタミンさらに鉄分、マグネシウム、亜鉛、リンなど多くの栄養素の助けが必要です。たまごはビタミンCと食物繊維以外のすべての栄養素を含んでいるので、毎日食べることによって丈夫な骨作りに役立ちます。最近、アルツハイマー病(老人性痴ほう症)の治療薬として期待されているのが、たまごの卵黄に含まれるコリン。コリンは脳の記憶や学習に深いかかわりを持つ神経伝達物質のアセチルコリンの原料となるものです。たまごは全ての食品の中でも、最もコリンの含有率が高く、大豆の3倍近くもあります。 脳に送られる栄養は、脳関門という関所を通過しなければなりません。大豆のコリンはほかの成分が邪魔するため吸収しにくいのですが、たまごのコリンは吸収しやすいという特長を持っています。子供からお年寄りまで脳の発達と若さのためにも大いに食べましょう。http://www.tamasin.co.jp/egg/himitsu.html

タマゴの秘密

ゆで卵のへこみは、「気室(きしつ)」と呼ばれる部分で、卵殻の内側の膜と、内部の白身などを包んでいる膜との間に空気のたまったものです。卵殻には気孔と呼ばれる目に見えない小さな穴が開いていて、外部との空気のやり取りがあります。このため、気室は、卵がヒナにかえる時に呼吸をするため役立つのです。また、産卵後時間の経過とともに内部の水分は、気孔を通じて蒸発するため、気室の容積は少しずつ大きくなってゆきます。

出典http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1202/a03.html

タマゴは完全栄養食 

たまご2個に含まれるたんぱく質の量は、成人が1日に必要なたんぱく質の約26%にあたります。このタンパク質を構成するアミノ酸をはじめ、あらゆる栄養素をたまごは含んでいます。

出典http://www.jpa.or.jp/chishiki/no17/005.html

コラム

食品の食感は硬さ・凝集性・粘度・弾性・ 粘着性等の力学的特性。粒子の大きさや形状とその状態が関係する幾何学的特性。水分や脂肪含量が関係する 表面特性が影響しています。 たとえば、コシが特徴の讃岐うどんの場合は、 硬さ・弾力性・歯切れなどの力学的特性がコシに影響し、また 麺の表面の滑らかさも喉ごしの良さに影響しています。 味覚は舌にある味蕾が感覚センサーになってい ます。食感の場合、歯ごたえ・噛みごこち・歯切れ は、歯の根元と骨とが接する部分にある歯根膜と呼ばれる 部分がセンサーとして働きます。そして、食品を上下の歯で 噛むごとに、感じる力の大きさと咀嚼時の変化、つまり硬さ 軟らかさ、弾力性、もろさなど、主に食品の力学的特性の情報 を得ています。 口あたり・舌ざわり・喉ごしは、口の中の粘膜や舌がセン サーとなり、接触する食品の滑らかさ・ざらざらさ・みずみず しい感じなどを感じています。

タマゴの加熱変化

57度 白濁 62度 卵白は乳白状のやわらかいゼリー状になり流動性を失い、卵黄はやや粘ります。

65度  卵白は全体が柔らかく固まった状態になり、卵黄は糊状餅状になります。

75度  卵白は65度の時と変わりませんが卵黄がかたい半熟になります。

80度  卵白は完全にかたくなり、卵黄も砕けるくらいのかたさになります。

85度  卵白はさらにふくらみながら堅くなり、卵黄はより砕けるようになります。

※70度の低温で長時間加熱すると半熟卵ができますが、まだゼリー状を保っている。この温度での凝固状態が最も消化吸収がよく病人食としてよくもちいられます。

※65度の低温で50分以上加熱すると卵黄も卵白も半熟の温泉玉子ができます。

出典http://www.arigatougozaimasu.com/syokuken/kasi/kasi16.htm

出典http://item.rakuten.co.jp/ra-beans/0612564/

卵白なぜ泡立つ?

卵白が泡立つ理由は、卵白の中に含まれているレシチンが、水分の表面張力(液体の表面を出来るだけ小さくしようとする力。表面張力が弱いほど、その液体は泡立ちやすい)を弱くする作用を持っているからです。卵白を撹拌することによって、徐々に空気を抱え込み泡立ちます。  卵白は泡立ちますが、そのあとに泡がしぼんだりせず、泡立ち始めると気泡が次第に細かくなり、泡だて器で持ち上げても落ちないような弾力のあるしっかりした泡になります。 これは、卵白の中に空気に触れると「変性」を起こして膜状に硬くなるレシチンが含まれているためです。 このレシチンの作用によって気泡が安定し、次第にキメの細かいしっかりとしたメレンゲ状になっていくのです。 ただし、卵白を泡立て過ぎると、レシチンの変性が過剰になって離水してくるので注意が必要です。

出典111.87.73.43/science/detail.html?article_id=K-051-015-11-04-G385&uid...

更新履歴

  • 2016/10/30
  • ゆでたまご
  • 2016/11/20
  • ノート・調理科学
          健康増進アドバイザー 桑原倫子
             御茶ノ水クリニック MFCフードコンサルタント
             女子栄養大学 食生活指導士

inserted by FC2 system